あの堀、実は外堀じゃない!?(ひこねのはてな探求記)

 彦根城にはお堀がある。彦根駅から歩くとき、キャッスルロードを歩くとき、城とお堀のセットが視界を彩る。彦根東高校のグラウンドの傍にあるのが内堀で、キャッスルロードの近くにあるのは外堀、ではなくて中堀である。春になると彦根城とともに満開の桜を写した写真が多数投稿されるけど、そこに写っているのは、だいたい中堀ということになる。

 では、外堀はどこにあるのだろう。実は、外堀は戦後に埋め立てられたため、現在は残っていない。昔は滋賀県護国神社前から銀座商店街の方向に続き、そこから琵琶湖方面に続いていた。

護国神社前に残る外堀跡。埋め立てで当時より幅が狭くなっている。


 どうして埋め立てられてしまったのだろう。外堀が埋め立てられたのは、第二次大戦前後に彦根市で流行したマラリア予防のためと言われている。マラリアとは、病原菌を持った蚊に刺されることで感染する病気で、光熱や吐き気、最悪の場合は死に至る病である。(現在では、マラリアは予防や治療が可能な病気となっている。)

 そこで、蚊が発生する湿地を減らしてしまおうということで埋め立てられることとなった。当時、内、中、外と3つのお堀があったが、外堀は水棲植物が生い茂っており、水の流れが停滞した不衛生な状態であったことや、民家が密集する地域にあったことから埋め立てられることになったという。

堀跡にある外馬場公園では、水路の段差から当時を想像できる。


 現在でも、市内各地でその遺構を見ることができる。山の湯の裏にある土塁跡、外馬場公園の近辺などに残っている。滋賀県護国神社前の跡が一番わかりやすい。今も外堀が残っていれば、そこに船を浮かべて市内を遊覧できたのかも。と妄想を膨らませたけど人の命には代えられない。(2020.12.31)

 

ごきんじょさん電子版

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