妖怪(ひこねのはてな探究記 第2回)

 彦根には妖怪の言い伝えがあるらしい。「妖怪図鑑」(NPO法人芹川子育て支援部門編)を手に取った。そこには10種類以上の妖怪が描かれ、妖怪にまつわる言い伝えが紹介されていた。河童や天狗、といった一般的な妖怪から、白馬の首が出現する壁などご当地妖怪も紹介されている。

 私が最も興味を惹かれたのは「連着町の腹痛石」。由来は彦根城の築城より昔にさかのぼる。彦根山(現在の彦根城がある山)には彦根寺という寺があった。参拝者が後を断たなかったようで、彼らは連着町(現在の城町1丁目)で荷物を背負う荷縄を解き、道端の石に腰掛けて休んだそうだ。その後この石が持ち去られることを危惧してか、「触れるとお腹が痛くなる」という言い伝えがなされるようになったという。

 腹痛石。いったいどんな石なのか。実際に見に行くことにした。みると、布が巻かれた座るのにちょうどいい大きさの石が鎮座していた。石の後ろには説明書きがあり、そこにある石が腹痛石ということが周囲からもよく分かるようになっている。驚いたのは、この石が私の通学路からすぐ見える場所にあったことである。私は3年間横を通ったにも関わらず、腹痛石の存在に気づいていなかった。発見とは意外なところにあるものだ。ちなみに、私はすぐお腹が痛くなる体質であるため、石に触れることはやめておいた。

 また、妖怪図鑑には、妖怪を放課後児童クラブの場で保育に取り入れる取り組みが紹介されている。児童達は妖怪の言い伝えが残る場所を探検したり、妖怪と手紙を交換したり、夏祭りに妖怪と関連づけたイベントを企画したりするらしい。背景には、子供たちが地域を好きになるきっかけとし、地域への愛着を自己肯定に繋げる、という考えがあるようだ。児童クラブの指導員の方には頭が下がる。彦根の子供たちは、どうして彦根が好きなんだ?「妖怪のせいなのね。そうなのね」。(2019.5.1)

図鑑で紹介されている腹痛石(提供:NPO法人芹川子育て支援部門)

実際の腹痛石

ごきんじょさん電子版

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